賃貸物件で一般的な賃貸契約の場合になります。契約内容により、手続き及び、必要経費にはかなりの差がありますので、まずは契約内容をご確認下さい。
不動産は契約の種類によって、注意しなければならない点がいくつかあります。
まずは現在の不動産契約がどうなっているのかを今一度チェックするといいでしょう。
普通賃借だと、立ち退きの三ヵ月前に解約を申し出ることが可能です。
また、定期借家契約だと、中途解約金が発生する可能性があります。
契約の内容をよく確認し、中途解約金がかかるのか、かかるとしたらいくらなのかをチェックしておきましょう。
テナントを不動産屋さんに引き渡すのは、ほぼ薬局閉店の着地点と考えても良いかと思います。
細かいことは色々ありますが、大まかな流れで行くと、物件の引渡しは大きな節目です。
この時期をいつにするかによって、閉店のスケジュールをどうするかが決まって来ることと思います。
引渡しまでに長く見積りすぎると、無駄な家賃がかかります。
逆に、焦りすぎると、様々な想定外のトラブルが起こり、余分な労力とコストを支払う事も有り得ます。ちなみに、テナントの引渡しは原則スケルトンで返却となっていることか多く、もしそうだった場合には、解体工事費用がかかります。
バランスよく、ある程度の余裕を持ってスケジュールを決めましょう。
平均的には、閉店後、2~3ヵ月のうちに引渡しとする方が多いようです。
[参考]
薬局店舗仕様(15坪程度)を現状回復する場合にかかる費用
解体費用 約80万~100万程度
廃材処分費 約20万~30万程度
※こちらはあくまでも内装部分のみの目安になります。外装について大きな造作をされている場合は、その分の費用が加算されます。
※電気設備等についても、構造により大きな費用の差が出てきます。
どの薬局でも必ず提出しないといけない書類はあります。
さらにそれらには提出期限が決められており、提出先も、書類によって変わります。
チェックシートを用いて、必要な書類を確実に揃え、提出先や提出期限を把握していくのも良いでしょう。
反面、薬局によっては提出が不要であったり、必要であったりする書類もあります。
主に、公費関係の辞退の書類です。これに関しては、薬局を開業した時の申請書類を調べ、薬局がどの公費の指定を受けており、
その指定を辞退するにはどうすればいいのか、いつまでにすればいいのかを把握する必要があります。
チェックシートに従って準備を進め、閉店してからスケジュールに従って提出!これで完璧、と思っていたら……「添付書類がありませんね」と提出先に突っぱねられてしまった!
なんてことのないよう、各提出先機関に、事前相談をしておきましょう。
必要な書類は何か、いつまでに提出か、他に気をつけることはないか、など、想定外のトラブルのないよう、確認しておくと書類提出がスムーズになります。
薬局閉店する際の必要提出書類の一覧と入手元がまとめられております。また、記入サンプルもダウンロードして頂けます(word形式)
※下記のサンプルやURLは最新でない可能性がありますので、必ず各役所公式サイトでご確認願います。
※分かりやすいように番号を割り振っておりますが、すべて提出が必要なわけではございません。
閉店が決まった時点から、動き始められるのが医薬品の在庫圧縮です。
デッドストックの洗い出し、次の来局日が閉店後の予定の患者さんを探し、1人しか出ていない薬があるなら返品、など、とにかく不要な在庫はどんどん減らしましょう。
閉店まで残り1ヶ月となったら、小分けの活用など、臨機応変に対応しましょう。
他の閉店関係の動きで手一杯になりそうなら、在庫専任を指名するのもいいかも知れません。
なぜ、カウントの必要があるのか?それは、余った薬は売ることが出来るからです。
そのまま捨てることは勿体ないので絶対にやめましょう!
バラ錠や汚れの酷いものなど一部のものは買取不可とされることが多いですが、それでも買取なしですべて捨ててしまうよりは良いのではないかと思います。
可能であれば、綺麗なPTP包装されているものと、バラ錠や汚れてしまっているものを分けてカウントしておくと、買い取りの際にスムーズになるでしょう。
医薬品の処分について詳しくは『医薬品の処分について』で説明しております。
経営に携わる方が閉店を決めた場合、懸案事項として上位に挙がるのが従業員の扱いについてだと思います。
少し考えただけでも、事前の説明不足による従業員とのトラブルや、どのタイミングで周知するかなど、頭の痛い問題が多々出てくるのではないでしょうか。
多店舗展開している会社については、他店への転勤などの選択肢もあることでしょうが、小規模展開の会社については、そういった選択肢はなかなか難しいものがあります。
そうなると、本人の意思での自主退社か、閉店による解雇のどちらかとなるわけですが、間違っても、強引な態度や陰口などで自主退社を強いるような事はしないようにしましょう。
後々の法的なトラブルの事を考えるなら、自主退社という選択肢は、充分な説明を受けた従業員が、自身で選ぶものであるべきです。
雇用にまつわる一般的な事は、ここに限らず調べれば割と色々と出てきます。
が、まず初めに社労士さんへ相談するのが、一番の近道であると言えます。
会社によって、従業員の数や抱えている問題などが個々に異なるため、細かい事となると、どうしても専門家の意見が必要となることが多いのです。
閉店が決まった時点で、なるべく早めに社労士さんに相談し、どのような方針にするのかを話し合っておくと、従業員への対応もスムーズになるでしょう。
従業員を解雇する場合、少なくとも30日以上前に解雇を予告するか、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければなりません。
これは労働基準法で定められており、上記の内容を守る限りは、違法とはなりません。
また、平均賃金を何日分か支払った場合には、その日数分だけ予告期間が短縮されます。
たとえば、7月20日で解雇する場合、本来は6月21日までに解雇の予告をするか、7月20日に30日分以上の解雇予告手当を支払わなければなりません。
これを、7月1日に解雇予告を行い、7月20日で解雇し、10日分の解雇予告手当を支払う、といった形にすることもできる、という事です。
別の視点から見ると、6月21日までに解雇予告をしなければならなかった所、10日超過してしまった為、その分の解雇予告手当を支払う、ということですね。
上で出てきた「平均賃金」とは、「3か月間に支払われた賃金の総額をその期間の総日数(働いた日数ではない)で割ったもの」です。
働いた日も、所定の休日も、すべて含めた日数で割って求めるのが平均賃金であり、1日働いたときにもらえる日給の30日分ではありません。
また、解雇予告手当は実務上、通貨で、解雇の申し渡しと同時に支払うべき、とされています。
これは強制ではないのですが、上記の旨を記載した通達が出ているので、それに沿って対応するのが無難でしょう。
離職票の退職理由には、自己都合の退職と、会社都合の退職があります。
解雇(会社都合の退職)の場合、自己都合退職と違って、3ヶ月間の給付制限期間をおかずにすぐに失業給付を受けることができ、従業員にとって有利な扱いになります。
自主退社にせよ、解雇にせよ、離職理由については十分説明し、確認の上、離職票にはできるだけ本人の直筆で、離職理由に異議なしの欄に署名・押印してもらいましょう。
離職に伴って必要となるのが、健康保険の被保険者証の返還です。
社会保険の場合、月の途中の退社について保険料を日割りするということはありません。
当月分をそのまま支払う形になるので、注意しましょう。
退職後、社会保険の任意継続の制度を使うのであれば、退職後20日以内に手続きをしなければなりません。
国民健康保険との違いや年金制度などについてもよく説明し、「被保険者資格喪失連絡票」を渡しましょう。
また、従業員から解雇理由の証明書を求められた場合、「売上不振のための閉店による解雇」等と記載した解雇理由証明書を、速やかに交付しましょう。
雇用の問題で揉めてしまうと、閉店までに従業員のモチベーションが最低になってしまい、それに付随して様々な懸念事項が産まれてしまいます。
トラブルを避けるためにも、なるべく早めから社労士さんに相談し、きちんとした対応を取れるようにしておきましょう。
医師への周知と同じ様に、患者さんへの周知は、タイミングを見極めないと、来客数の減少や、トラブルの原因に繋がってしまいます。
周知が早過ぎれば、来客数が減少してしまいますし、遅すぎると、今度は「何故もっと早く言ってくれないんだ!」となってしまいます。
一般的には、閉店1ヶ月前くらいから、患者さんへの周知をスタートさせる事が多いようです。
ここで、特に注意が必要なのは、自立支援の公費を受給している患者さんです。
薬局の指定をしている為、薬局の指定の切り替え手続きをしなければならず、精神的にも不安を感じやすい方が多いため、より細やかなフォローが必要となります。
これらの患者さんには、閉店1ヶ月前には周知が終わっている状態にしておくと、トラブルが起きにくいと言えるでしょう。
また、2ヶ月分や3ヶ月分の処方を持ってくる患者さんの中には、次回来局する時にはもう閉店している、という方もいるかと思います。
そのような方には、閉店のお知らせをDMで送ったりすることで、事前にお知らせしておくケースが多いようです。
もちろん患者さん1人1人で性格は異なるので、クレーマー体質の方など、注意が必要な患者さんについては、その人の性格や考え方などを考慮した上での対応が望ましいでしょう。
医師への周知の項にも記載がありますが、近隣の薬局マップなどは作成しておいた方が、患者さんからの相談にスムーズに対応出来ます。 事前に最寄りの薬局に挨拶をしておくと、閉店後の患者さんの受け入れもしやすくなるでしょう。
閉店後、未集金の回収や不足薬の手配などに時間を取られると、その他のやらなければならない事が遅れてしまう可能性があります。 前もって、未集金のある人に連絡したり、不足薬が出たらなるべく早く対応することで、閉店後の業務に支障をきたさないようにした方が良いでしょう。
閉店となると、近隣の医師の先生方には色々と伝えなければならない事が出てきます。
代表的な事項として、
・ご迷惑おかけすることに対するお詫びと、今までのお礼
・それまでの患者さんへの対応
・患者さんから、医院へ相談があった時の対応(「〇〇薬局が閉店するって聞いたけど、どこに行ったらいい?」など)
・(医師と親密な場合)医師からの要望がないか
などが挙げられます。
まず、閉店と聞いてほとんどの医師は今後患者さんにどう伝えるか、どんな相談が来るかなどを思い浮かべる事と思います。
ご迷惑やご心配をおかけする事を、きちんとお詫びし、今までお世話になったお礼も伝えましょう。
また、患者さんへの対応は、基本的に薬局から周知すること、もし患者さんから相談があった場合は、近隣の薬局マップをあらかじめ作成しておいて、それを患者さんに渡してもらうなど、なるべく閉店による迷惑がかからないような対応を取るのが望ましいでしょう。
医師と親密な中である場合は、相手側からの要望もある程度受け入れた方が、総合的にみれば、トラブルを減らせる事に繋がります。
逆に距離が離れているなどで、あまりやり取りのない病院については、一通りのご挨拶で済ますケースも多いようです。
病院ごとに、伝える内容をある程度整理した上でご挨拶に伺う様にしないと、後々のトラブルの原因となる可能性がありますので、注意しましょう。
薬局の閉店を、医師に周知するタイミングは、非常に難しいところです。
早めに周知して、閉店することが医師から患者さんに伝わり、閉店までの貴重な利益源である来客数が落ちてしまう、という事も有り得ます。
逆に、周知するのが遅すぎて、医師から「何でもっと早く言ってくれないんだ!!」とトラブルに、なってしまう可能性も、ないとは言えません。
相手との信頼関係がどれほどの状態か、相手の医師はどのような人物で、どのタイミングで切り出すのがトラブルを避けられるか、といった事が、一つの判断の基準となるのではないでしょうか。
例えば、近くの医院で信頼関係も良好、口の固い先生なら、早めの段階から伝えておき、逆に口も軽くそこまで関係も深くない病院には、伝えるのを早すぎないようにする、といった形です。
上記は極端な例ですが、概ね閉店2~3ヵ月前に伝える薬局が多く、遅くとも1ヶ月前には周知が終わっているケースが一般的である様です。
分包機やレセコン、鑑査システムなどの高額な精密機器については、リース契約を組んでいる事が一般的です。
リースを組んでいる場合、残債を払い負えなければならず、途中解約ということは残念ですが出来ません。5年リースの場合、今後も継続して5年間を払いきるか、 若しくは、一括で買取をするという形しか取れないのです。
リース期間が満了している場合は、リース会社への返却で対処することができます。
大型の備品の廃棄には、各自治体毎に決まった手数料がかかります。 待合室のベンチや投薬台、鑑査台、事務机、椅子などのインテリアに類するものから、冷蔵庫やテレビ、コピー機、パソコンなどの家電製品まで、廃棄する場合は自治体の処分方法と料金を事前に調べておきましょう。
軟膏ツボ、シロップ瓶、薬袋、分包紙、その他の消耗品などは、閉店までに過剰な在庫の無いように調節する必要があります。 担当者を決めて、きちんと管理していった方が良いでしょう。
電気ガス水道インターネットなどは引っ越しのときと同じですが、ウォーターサーバの契約やリース関連、車、備品、ネットサービスの契約等をリスト化してみましょう。